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慢性の無感情 -アパシー症候群における、SSRIとPTSD(心的外傷後ストレス障害)の関係性-

久しぶりに思考整理を兼ね、記事を書かせて頂く。

今日の記事はアパシーについてである。

私の周りにはもとより精神不安定な人間が多いのだが、タイプによっては無感情に慢性的に支配されており、それがどのような状態かということを知っていけたらと思う。

 

アパシーとは?

医学的において、アパシーとは無気力及び感情鈍麻*1の事を指す。

鬱病の主要症状でもあり、アルツハイマー病や認知症PTSDでも発症する場合がある。

モチベーションが低く、技術が伴わない場合の精神状態にも近く感じる。

以下の画像はアメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイのフローに関するメンタルステート図。

 

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メンタルステート図

また、神経内科と精神科ではアパシーの捉え方に差があり

神経内科では独立した病態

精神科では鬱病の症状、もしくは近縁疾患

といった具合である。

 

アパシーの定義(Marin,R.S.)

  • 目的ある行動の減弱(努力の欠如)
  • 目的ある思考の減弱(健康、経済的問題への関心の欠如)
  • 目的ある行動に付随した情動的反応の減弱(感情の平板化)

 

治療について

薬物療法であればドーパミン神経系を活性化させる薬を処方。

鬱病と違い、SSRIなどの抗うつ剤投与の効果が乏しい。

 

鬱病患者が希死念慮を抱くのに対し、アパシーは全てに無関心になると言うイメージである。

前者は苦痛を伴い気分が落ち込むが、後者は苦痛はなく感情が動かない。

確かに症状としてはかぶる部分もあるが上記が決定的な違いの様に思う。

ややこしいのはこれらの症状が合併している場合である。

鬱病はおおよその原因が解っているがアパシーに関しては完全に解明されてはいない。

 

原因考察 パーキンソン病脳卒中での後遺症を省く。

SSRI誘発性アパシー症候群(SAS)と言うものがある。

ただし、日本では症例が少なく認知もあまりされていないのが現状である。

EscitalopramによるSSRI誘発性アパシー症候群が疑われた1症例

SSRIの有害事象としてのSSRI-induced apathy syndromeは海外で複数例報告されているが,本邦では少なく,escitalopramによる報告はない。

 この事例では患者投与中のSSRISNRI(セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に変えたところ、回復の傾向にあったとある。

日本人におけるアパシーSSRIによるものが多い様に思う。

 

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精神疾患を有する患者の推移

平成29年までのデータだがオレンジと斜線の入った黄色の割合を見て頂きたい。

主にSSRIが処方される疾患分類である。

年々と増えているのが分かる。これもアパシーの原因の一つだろう。

 

また、PTSDも原因に考えられている。

心的外傷後ストレス障害ことPTSDは原因として強い恐怖、無力感、または戦慄を覚える様なトラウマがある。虐待などが身近な経験だろう。

症状

  • 精神不安定、それによる不明
  • トラウマの原因の回避、もしくは逃避
  • フラッシュバック

そして刺激によりパニックを起こさない様に一時的に精神機能を麻痺させ、適応しようとする。その結果、記憶の忘却、幸福感の喪失、感覚鈍麻(アパシー)、未来像の喪失などを引き起こす。

身近な例をあげると、虐待など間接的な原因、性被害などである。

症状にアパシーがあるので深い繋がりのある原因の一つと思う。

 

PTSDについては別の記事でさらに深くまとめようと思う。

周りに無気力な人間はいないだろうか?

この記事を読んで少しでも考える機会になれば私は嬉しく思う。

*1:通常であれば感情が湧く刺激対象に何も感情が湧かなくなった状態