ストレスと戦え!脳内物質のトリガーに指をかけろ
連日の投稿となるが今日は自傷行為が脳内でどの様な作用を引き起こすのか書いていこうと思う。
結論を先に書いてしまうとリストカットはランニングと変わらない。
脳内での作用は自傷と長時間のランニングは変わらないのである。
所謂メンヘラはランニングすることなく、独自のトリガーを持って脳内分泌ホルモンを出しているといってもいい。
ストレスと適応機制
そもそもの話をすると自傷行為の原因はストレスである。
人間はストレスを感じるとそれぞれの適応機制によってそのストレスを発散する。
適応規制とは
受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。欲求不満などによって社会に適応が出来ない状態に陥った時に行われる自我の再適応メカニズムを指す。
要するにストレスを受けた時の心理的な反応といったところである。
適応機制については詳しく後でまとめるが、その中の一つに自己破壊がある。
アルコール、薬物、もしくは自傷行為などでストレスを発散するもので、リストカットもそこに含まれる。
ストレスで分泌される脳内物質
ストレスによって分泌される物質は多くあるが、関係性の深い視床下部での物質に絞らせて頂く。
まず過度なストレスがかかった時に脳内にCRF(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)と呼ばれる物質を放出する。
この物質はPOMC遺伝子(プロオピオメラノコルチン)を誘発し、POMCから作られるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌を促進する。
POMCはACTHとβ–エンドルフィンに1:1の割合で分解される。
CRF→POMC→ACTHとβ–エンドルフィンといったプロセスである。
またサプリメントなどで知られるGABAがCRF(CRH)の分泌を促進することが最近の研究でわかっている。
GABA が興奮性 に作用して CRH 分泌を促進し、ACTH と糖質コルチコイド分泌を促進するという、ストレスホルモン放出機構の新しい経路を発見しました。(浜松医科大学より)
ACTH とは
ACTHそのものは精神作用はないものの内臓に働きかけ、他の物質の分泌を促進する。
アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾール、アンドロゲン(男性ホルモン)などを腎臓から分泌させることがわかっている。
それぞれの作用は大まかにこうである。
アドレナリンで痛みが抑えられ、ノルアドレナリンで精神的苦痛の緩和といったところだろう。
コルチゾールに関しては過剰分泌された場合に海馬を萎縮させることが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者のMRIから観測されている。
アンドロゲンでは男性でよく言う疲れた時の性欲的なものだと思われる。
ACTHはストレスを受けた際、闘うか逃走かといった本能的な準備作用が強く出るイメージだとわかりやすいかもしれない。
β–エンドルフィンとは
鎮痛作用がメインの脳内麻薬である。モルヒネと比べ、約6.5倍ほど作用が強い。
ランナーズハイで分泌されると言う説が広く知られており、多幸感を得られる。
多幸感の原因はドーパミンである。
β−エンドルフィンがドーパミン神経系(A10神経)のドーパミンを遊離(他と化合しないこと)を促進させ、脳内ドーパミン濃度を上げる事により多幸感を得る。
鎮痛と多幸感によってストレスを緩和させる精神的な鎮痛剤と言うイメージである。
考察
ストレスによりCRFが分泌され、適応機制の自己破壊で更にそれを多くするというイメージである。
その身体的な刺激によりACTHとβ–エンドルフィンは分泌される。
それが人によってランニングであったり、リストカットであるだけなのだ。
もっともトリガーという意味で言えばつねるなども入るのかもしれない。
自傷行為の脳内での作用は以上である。
止めるだけでなくどうしてそうなってしまうか知ることが上手く付き合っていく手段の一つの様に思える。